こんにちは!セブ留学アカデミーのハヤカワです。

皆さんはフィリピンの治安についてはどのようなイメージをお持ちでしょうか?

このブログで繰り返しお伝えしているように、ほとんどの犯罪は自分で防ぐことが出来ます。安心してください!

フィリピンの治安についての記事はこちら

さて今回はちょっと特殊な凶悪犯罪、トランプ詐欺について紹介します。

フィリピンでは非常に有名な犯罪で、皆さんが語学学校に入学する際は必ずと言っていいほどこの事件については注意を促されます。

 

トランプ詐欺とは?

トランプ詐欺だけは絶対に注意!!

トランプ詐欺だけは絶対に注意!!

 

トランプ詐欺とは主に東南アジアで長年広まっている犯罪手口の一つ。

有名なトランプゲーム、ブラックジャック(ディーラーから手札をひいて21に近い数字が出た方が勝つゲーム)を1対1で勝負する。事前にディーラーからこっそり「ワタシと組んで相手から金をとろう!」と誘われる。ディーラーは手品のように思い通りのカードを出すことができ、自分が引くカードは必ず相手よりも強いカードが出るため絶対に負けない。

しかし勝負を続けていくうちに自分も負け始めるようになり、だんだん自分の手持ちのお金が減っていき、結果ディーラーと相手によってお金をむしり取られるという手口。もちろんディーラーと相手が仲間になっていることは言うまでもない。

 

カジノで人気のブラックジャック

カジノで人気のブラックジャック

 

いやー恐ろしいですよね~。

実は僕はこの犯罪についてはそこらの人よりも詳しいんですよ。

 

だって自慢じゃないけどワタシ被害者ですから、ハイ。

ええ、私が。私自身が(笑)

 

あれは11年前の出来事だった…

2009年春、マレーシアにて

2009年春、マレーシアにて

 

あれは11年前、当時大学最後の春休みに卒業旅行でマレーシアを一人旅していた時の事でした。

クアラルンプールのショッピングモールでブラブラしていたところを後ろからオバちゃんに声をかけられました。人の良さそうなオバちゃんでした、身なりも綺麗で。

 

オバちゃん:「アナタどこから来たの?」

ハヤカワ:「?? 日本です。」

オバちゃん:「日本のどこから?」

ハヤカワ:「名古屋です」

オバちゃん:「ナゴヤ!!つい最近までウチの娘がナゴヤの大学に留学してたのよ!学校の名前は忘れちゃったけど」

ハヤカワ:「えーそうなんですか!何という偶然!」

オバちゃん:「よければ家に遊びに来ない?名古屋からお客さんが来たら娘も大喜びよ!」

ハヤカワ:「え、そうですか?それじゃあ…」

 

と、誘われるがままタクシーに乗り込む2人。車内での会話もとりとめもなく、「バイトはしてるの?」とか「実家は何してるの?」とか。渋滞もあり30分くらいして郊外の住宅街に到着。「帰りは送ってあげるからね!」とオバちゃん。相変わらず愛想がいい。

 

家に到着

そして家に到着すると旦那さんが機嫌よく迎え入れてくれた。

「娘にコーヒーを入れさせるよ!あ、お腹減ってないか?食事も作らせるよ!」

そして家族と談笑。再び取り留めもない話をしながら今度は仕事の話になった。

 

おじさん:「ところで君のお父さんは何してるんだ?」

僕:「ウチは自営業です。アナタは?」

おじさん:「オレか?オレはカジノのディーラーをやってる。主に世界中をまわる豪華客船の中のカジノで働いている

僕:「へー。ディーラーなんだ!カッコいいね!!」

おじさん:「だろ?ちょっとプロのテクニックを見てみるか?」

 

そういってトランプを出し始めるおじさん。ハヤカワは娘さんが作ったトーストと焼きそば、コーヒーをもらいながらブラックジャックの説明を受けるが、おじさんカジノディーラーは見事に思い通りのカードを次々と引いてくる。

 

おじさん:「スゴイだろ?この技を使って俺はお客さんと手を組むんだ。例えば飲み物はいかが?って聞いたらもう1枚カードを引けっていう意味だったり、今日は暑いなって俺が言ったらこれ以上カードを引くなっていう合図なんだ

僕:「ほほう…」

おじさん:「それで俺が勝たせてあげた客は後から俺に高額なチップを払うってわけよ。

ところがだ!

こないだ俺が勝たせてやったブルネイ人の金持ちオヤジでMr.ポーって奴がいるんだが、散々勝たせたのにチップを払わずに帰りやがった!」

僕:「そりゃかわいそうだね」

おじさん:「そうなんだよ。そしてなんと、今日はそのMr.ポーがウチに遊びに来るんだ。賭け事好きのアイツのことだから絶対に俺にブラックジャックの勝負を吹っかけてくる。

そうだ!ハヤカワ。今日はお前が勝負してみないか?なあに、お前の掛け金は先に俺が渡しておくよ、ホラ。だってどうせ勝つんだから問題ないよガハハ!」

僕:「え、オレが勝負するの?…まあ別にいっか、勝つなら。俺の金じゃないし。」

オバちゃん:「そうそう、アナタには何のリスクもないじゃない!大丈夫よ!」

 

Mr.ポー登場!!

現れたMr.ポーは明らかに金満オヤジだった。行ったことないけどブルネイの金持ちってのはみんなこうなんだと当時大学生の僕は思った。

今どきあんな金色の眼鏡や時計やらアクセサリーをジャラジャラ着けた人見たことないもん。

「新宿スワン」の関さんとかくらい?

 

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そしてポーは家に来るなり勝負を仕掛けてくる。

 

ポー:「よう!こないだはたっぷり稼がせてくれてありがとう!さーて今日もやるか!?」

おじさん:「アンタはチップくれなかったけどな。まあいいや、勝負しよう。ところで今回は俺じゃなくてこの日本人、Mr.ハヤカワが勝負する」

ポー:「ほう、そうかヨロシクなMr.ハヤカワ。俺は強いぞ!こないだはマカオのカジノでジャッキーチェンとも勝負したけどオレが勝ったからな、ガハハ!」

 

勝負開始!!

勝負は小さな部屋で行われた。これがホントに怖い。小さなテーブルに僕とオバちゃん、Mr.ポーとディーラー(おじさん)が入ったらそれだけでぎゅうぎゅうになりそうな小さな場所だ。

 

ディーラーは打ち合わせ通りにゲームを進める。

僕はスタートからいきなりブラックジャック(カードの合計が21の最強手札)が出る。その後も勝ち続ける。当たり前だ。しかしさすがに全部勝つと怪しすぎるのでディーラーは時々引き分けの手札もおりまぜる。なるほど、やはり慣れている。

 

オバちゃんは「順調順調♪」と言わんばかりにニコニコしている。今思えば順調だったのはゲームではない、彼女たちの一連の詐欺行為があまりにも順調すぎたのである。

 

僕の勝ち分が5万円分くらいに達したあたりからだろうか、Mr.ポーに負けてしまう。

「まあ、さすがにたまには負けないと怪しいもんね。仕方ない仕方ない。」と考える僕。しかしその後も立て続けにMr.ポーの手札が揃い始めてくる。

気づけばおじさんから預かっていた軍資金が無くなろうとしている。そしてもう一度まけたところでついに軍資金の底がついた。試合終了か?

 

すると隣のオバちゃん、「まだまだツキはあるんだからアンタの金で戦いなさい。後で返してあげるから!」とヒソヒソ言い試合続行。しかし、勝てない。

自分のお金で5千円分くらい負けた時、これはおかしいと思い始めた。

 

僕:「うーん…。ちょっと、トイレ行ってくる…」

ディーラー:「はあ!?トイレ?勝負の最中だぞ?ダメだ!」

僕:「いや、我慢できない。コーヒー飲みすぎたからもれちゃう!」

ディーラー:「しょうがねーな~。おい、お前トイレ案内してやれ!」

オバちゃん:「はーい」

 

そういってオバちゃんがトイレを案内する。もちろん僕はトイレなんて全然行きたくなかった。小便をするフリをしている間もオバちゃんが後ろで腕を組んで見張っている。

やっぱりおかしい。

逃げよう、と決めた。オシッコ(のふり)をしながら、ポケットに財布があることを確認、肩にはいつもかけている小さなバッグがあり、そこにパスポートがちゃんと入っていることも知っている。部屋に置いてきたのはガイドブックくらいか。まあ仕方ない。

 

脱出!!

そして僕は逃げた。女性に暴力をふるうことはしたくなかったがこの場合は仕方ない。全力でトイレの後ろに立つオバちゃんに体当たりをし、家の外へと飛び出す。

しかし驚いたことに、来た時は気づかなかったがこの家の入口の門、とてつもなくデカい。

これくらい↓

 

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しかし諦めたらダメだ。なぜかこのあたりから「捕まったら殺される」という気がしてきた。

僕は塀をよじ登る。塀を超えて飛び降りた時の衝撃で足が痛かったが、それでも走る。

 

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後ろを振り返ることも怖いから走る走る。

何となく相手が拳銃とか持ってたら怖いので、アクション映画の主人公のように右へ左へ蛇行しながら走る走る。

 

その時の僕のイメージ

逃げながら気づく。ものすごい田舎だ、電車もない。

しかしそれでも僕(中学時代は100メートル県大会入賞)は、走る、走る。

 

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どれだけ走っただろうか。とりあえず後ろから追手は来ないことを確認した。
20分ほどひたすら走り続けてようやく遠くに駅を発見。

駅に行ってから路線図を見て唖然とした。ものすごい遠くに来ていた。

 

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とにかく僕は逃げのびて、何とかホテルに戻った。
被害額は5千円程度で済んだが、あとからネットやガイドブックでそれがトランプ詐欺と呼ばれる東南アジアで有名な犯罪だと知った。
人によっては何十万、何百万もお金をとられたりしているらしい。
警察に言おうにも、そもそもカジノなど政府公認の場所以外での賭博は禁止されているため、警察に行ったところで自分が捕まるのがオチだという。

 

あれから11年、フィリピン留学に来てからも未だにその犯罪が横行していることを知った。

これを読んでくださった人はくれぐれも気を付けてください。アナタの代わりに僕が体験してあげたんですから(笑)